中国語検定の技術の身につけ方
ただ単に練習させるだけではなくて、少し難しめの曲を渡して、「最初はできなくてもいいから一緒にやろう。
できないね、じゃ、今度はここまでやっておいで」と言ったりします。
最初からこちらが細かくみる場合もありますし、ちょっとできそうだなと思う子は放っておいて「これやっといで」とだけ言います。
そう言われてほんとうにやってくる子であれば、ある程度見極めることができます。
「わからなかったらそのまま持ってきたらいい」と言われて、わからないまま放っておく子だと、ああ、この子には自分からいろいろやろうという意欲はまだないかなというふうに見ます。
そうなるとレッスンのときにはゆっくり、「はい、一段目いこう、はい、今回はここまでやったから、できたら一一段目ぐらいまでみておいでよ」と言うことになります。
意欲的な子は「何でもいいから自分で勝手に先へ進みなさい」と言うと、ほんとうに進んできたりする子もいます。
少し難しめの曲が弾けるようになったとき、自信といいますか、ほんとうの楽しさがわかるんだと思います。
そうすると、次の曲も自分でやりだしますね。
そこで父は、そういう曲のことを、その子にとっての「当たりの曲」だと言っていました。
U)先生はその子に合った曲をちゃんと選んでおられていたような気がします。
「これは君のために特別に見つけてきた曲だから」、とおだてなからされるわけです(笑)。
そうすると、『弾けないと思ったけど、弾いてみたらなんとなく弾けるんだ』となるんですね。
R子)長いあいだ教材の研究をよくしていましたね。
日本の教材はもちろん、海外の教材もかなり多く取り入れていました。
C)日本の教材は形式だった書き方になっているので、これを教えたら次はこれ、次はこれというふうになっている。
外国の教材は写真があったり、絵があったり、表紙にも絵があったりして、そうすると子どもの場合、「あ、かわいい、塗り絵してもいい?」と楽しい気持ちになります。
父は生徒が自然にさらいたくなるような、この本だったら見てみようかな、と練習したくなるような本を探すのがいちばん難しいと言っていました。
この本を使えばこれぐらいのテクニックはマスターできるというメドはあるのですが。
それでもどうしてもマスターできない子には、その子用にこちら側でアレンジして、その子に合ったものを与えます。
そうすると、その子にも自分のオリジナルのエチュード曲という意識がわいてくるようです。
みんなと同じ本をやっていると、小学校一年生ぐらいの子でも、「あれはみんなは何回ぐらいでやったのに」とか、「あの曲はだれが弾いていた」とかいう意識かあります。
そこで、この本はみんなが終わったのに自分はできない、でもできないというのが言いづらい。
それは男の子のほうか大きいです。
女の子の場合はできなかったらできないで、強引にでもやってできた気になるんです。
男の子の場合のほうが自分に厳しいのかもしれません。
できていないということを、先生に対してでもそうですし、まわりに見せるのがいやなんです。
私はそれがわからないで引っ込み思案なように見えてしまうのですが、父はすぐに、「そうじゃない。
だからあの子なりの楽譜を書いてやろう」といって、書いてやっていました。
そうして「じゃ、これをやろう」と言うと、本人は喜びます。
自分は特別にやってもらっていると。
できないからそうしてもらっているというのは、その子にはわからなくて、自分オリジナルの曲で、みんなはやってないと思うのです。
先のほうにいくとわかるわけですが、わかったときに、みんなと自分は違う曲をやって、その上これも弾けるようになったというので、すごく自信がついてくる。
そうなると、それがバネになってポンと進むのです。
U)これなんか、まさに引き出す教育だと思います。
持っている才能を引き出してやらなければいけないというのですか、集団でやっていても、一斉に同じことができるわけではなくて、一人ひとり違うわけですね。
実にうまく個人と全体を見ておられるなという気がします。
C)父も、どうやって引き出すのがいいかということをいつも言っていました。
楽器を弾くときに、楽器とからだが一体化するまでにすごく時間がかかる。
弓を大きく使うにしても、ただたんに「こうやって動かしてごらん」といって運動を教えるわけではないのです。
からだも一人ひとりつくりが違うし骨格も違う。
指の力も強い子もいれば、ほんとうにふにゃふにゃで弱い子もいる。
それをいかにうまくその子なりに動かしてやるのがいいかということを考えなければいけないのです。
最初はバイオリンから始める場合が多いのですが、何十年も教えていると、これくらいまでは上達するというメドはたちます。
ところが、どうしてもだめだ、という子がいました。
でも、からだだけはどんどん大きくなってしまう。
バイオリンもそれなりに大きくしなければいけないのですが、持っていられない。
どうしようかといって、父はちょっとチェロに変えてみようと言ったのです。
私たちは最初のころはバイオリンも持てないのにチェロなんてと思ったのですか、バイオリンに向いている子とか、チェロに向いている子というのがあるみたいで、チェロに変えたとたん、すばらしく合ってしまったということがありました。
R子)人間の感覚のなかに低音指向とか高音指向というのかありますよね。
C)本人が希望する楽器もありますか、それがほんとうにその子に向いているか。
いちばん大事なのは、その子が楽器を弾くときに集中できるかということなのですか、それを見極めなければなりません。
それには時間がかかる場合もあります。
その結果、楽器を変えた方がいいと判断すれば、思い切って変えます。
それで大体続きますね。
U)僕はだめだったけど(笑)。
いまのお話を聴いていても思うのですか、H先生にはどんな子でも何かあるから、才能が出てくるまで待とう、なんとかして工夫して引き出そうという姿勢がありますよね。
それがいまの日本の教育に一番欠けているのではないかと思うのです。
教えることが最初にあって、これだけこの時間に教えなければいけないというので、上からどんどん教え込んでしまうものだから、ゆっくりやれば伸びる子も伸びない。
先生についていける子だけ残ってしまうという感じになっている気がします。
C)父は、小学校四年生までは養育期間で、そこからあとが教育期間だと言っていました。
四年生ぐらいまでは遊び感覚でもいいから、とにかく楽器を弾くことが楽しい。
そうして五年生ぐらいからは楽しさと同時に課題を増やし、練習の厳しさも教えなければならない。
妹の場合も小学四年生ぐらいから本格的に始めています。
教え方もまったく違いました。
私には中学生ぐらいまでは本当に厳しくて、毎日のように泣いていたほどです。
多分、私の場合には厳しくしないとだめになると思ったのでしょうね。
妹への教え方は、私に比べてずっとおだやかなものでした。
いずれにしても、教えるのは忍耐が必要だというのはすごく言っていました。
U)僕も教わったときに、女の子の場合は中学校の二年、三年のときに猛烈に伸びる。
男の子のほうは高校生にならないと伸びないと言われたのですが、やはりそういう差はあるのですか。
R子)ありますね。
からだの伸び盛りと同じじゃないですか。
C)それをすごく父も考えていました。
ちょうどからだがいちばんぐんと伸びるときに一緒にやってしまうと、演奏の力も伸びるのです。
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